スリーピースは失礼にあたる?老舗オーダースーツ店が誤解と正解を徹底解説

ベスト付きのスーツスタイルである「スリーピース」。自分もスリーピースを着こなしてみたいけど、失礼にならないか、どんな時に着るべきなのか、そもそも似合うのか、など色々考えてしまって購入を控えている方がいらっしゃるのではないでしょうか。今回はスリーピースの正しい着こなし方についてお伝えしていきますので、購入前の参考に見てもらえたらと思います。

スリーピースが与える印象

そもそもスリーピースを着るとどのような印象になるのか。まずは相手に与えるイメージを理解しておきましょう。

信頼感と誠実さ
ベストが加わることで、全体のコーディネートが整い、「準備が行き届いている」「細部に気を使う人」という印象を与えます。また、スリーピースはクラシックで重厚感のあるスタイルを持つため、「自己管理ができている」「自分に自信がある」という印象も与えます。
例えば、ビジネスの場ではリーダーシップや決断力を象徴とされる服装なので、大事な商談、契約の場、大きな会議などでのプレゼンをするシーンに非常に向いています。

フォーマルでエレガント
元々スーツの着こなしはジャケット・ベスト・スラックスの3つ揃えが正装と言われています。格式の高い着こなしなのでスーツよりも一段と洗練された雰囲気になります。ビジネスシーン以外には結婚式や披露宴、高級レストランでのディナーやパーティーにも使える着こなしです。

TPOが非常に重要

スリーピースの印象はプラスになることばかりでは?と思った方、ちょっと待ってください。着用シーンがマッチしているからといってもTPOは弁えなければいけません。昨今ではビジネスウェアも多岐に渡るのでスリーピースを着れば絶対大丈夫とは言い切れないです。例をいくつかあげます。

クライアントの担当者がラフな服装
この時にスリーピースを着てしまうとクライアントとの服装の差が大きく離れてしまうので、失礼まではいかずともやや圧力を与えてしまう可能性があります。服装を相手に合わせるのが最適でしょう。

先輩上司とクライアント先へ同行
仮に先輩上司がツーピース(ジャケット・パンツ)のスタイルであると、自分の方が格式が上になってしまいます。新入社員や社歴が浅い方がスリーピースを着てしまうとやや生意気な印象を与え兼ねません。気にしない方もいれば、気にする方も少数いると思うので控えた方がいいかもしれません。

就活や転職活動での面接
就職活動ではスリーピースは着ない方がいいでしょう。前のめりの姿勢は好印象ではありますが、生意気なマイナスイメージになる可能性が高いです。また転職活動においても、面接時はツーピースで臨む方が無難です。

スリーピースそのものは印象を上げるアイテムですが、着用シーンを誤ると印象を下げてしまうことに繋がります。対面する相手のことを考えて着用するかを判断しましょう

スリーピースの魅力を最大限に引き出すには?

スリーピースの印象やTPOがわかったところで、ただスリーピースを着ればいいという訳ではありません。スリーピースの正しい着こなし方を分かってこそ、印象を上げることが出来ます。それぞれ確認していきましょう。

スリーピースのボタン

スリーピースのフロントボタンは5ボタン、6ボタンが主流とされています。初めてベストを着る方にとっては分からないかもしれませんが、ベストのボタンの一番下は外すのが基本の着方になります。こちらは覚えておきましょう。またジャケットに関してはフロントボタンは外して着こなすのがオススメです。ジャケットのフロントボタンを留めてしまうとやや窮屈な印象で無理なサイズを着ている様に見えてしまうためです。状況に応じてはフロントボタンを留めてもアリですが、基本は外しておきましょう。

ベストの着丈の長さ

ベストの着丈の長さで見栄えも変わります。特に短くて、ベストが丸見えとなってしまうのはNGです。既製品のベストでサイズが合う方は中々いないと思います。スリーピースを着てみたいという方はオーダースーツを検討しましょう。

スリーピースが似合う体型

低身長 オーダースーツ

実はスリーピーススーツはどんな体型の人にも合わせられる汎用性の高いスタイルです。体型に合ったフィット感やデザインを選ぶことで、体型を補正しつつスリーピースの魅力を最大限に引き出すことができます。オーダーメイドで仕立てれば、さらに自分の体型に合った理想的なスーツを手に入れられます。気を付けるポイントは生地の色柄となるので確認していきましょう。

標準体型

似合う柄・仕様:シンプルな無地や控えめなストライプ柄が万能。

避けた方がいい柄:過剰な装飾や派手な柄

背が高い体型

似合う柄・仕様:ピンストライプやチェック柄で縦のラインを引き立てる。ジャケットとベストの丈を長めに。

避けた方がいい柄:細すぎるラペルや短い丈

背が低い体型

似合う柄・仕様:無地または細いストライプ柄。ベストの着丈を短めにして脚を長く見せる。

避けた方がいい柄:大きな柄やボリュームが出すぎるデザイン

がっしりした体型

似合う柄・仕様:無地または控えめな柄。

避けた方がいい柄:明るすぎる色や派手な装飾

スリムな体型

似合う柄・仕様ツイードや厚手の素材でボリュームを追加。

避けた方がいい柄:ダボっとしたシルエット

お腹が気になる体型

似合う柄・仕様自然なフィット感のベスト。縦のラインを強調するシンプルなデザイン。

避けた方がいい柄: タイトすぎるシルエットや目立つ装飾

スリーピースコーディネート集

ダークネイビー×シャドーストライプ

ベーシックなシャドーストライプでも自然に決まります。ネクタイには段落ちのブロックストライプで異なるストライプで合わせれば違和感が生まれません。ネイビーとグレーで落ち着いた印象を演出してみてはいかがでしょうか。

ネイビー×シャドーストライプ

やや幅のあるストライプですが、主張が強すぎないシャドーストライプなので、インパクトはピンストライプ等に比べて控えめな印象に仕上がります。幅の細い定番のシャドーストライプに飽きてきたら、こちらの幅のあるシャドーストライプにシフトしてみてはいかがでしょうか。

ブライトネイビー×ヘリンボーンシャドーストライ

親しみやすい明るいネイビーとイエローのネクタイでのコーディネート。ベストがあることでVゾーンも狭まるので明るいネクタイや少し派手に感じる柄でも強い印象になりすぎないのもスリーピースの良い所です。

ライトグレー×シャークスキン

クラシカルな印象にしたい方にはグレー系がオススメです。スーツに着慣れたこなれ感を演出できるので、実年齢よりも上に見せることが出来ます。落ち着いた印象で商談やプレゼンに臨むのもありです。

スリーピースを初めて着た方の感想

今までスーツはツーピースばかりを着ていた方がスリーピースに初めて挑戦。どんな時に着用するかお伺いすると、お仕事はコンサルティングをしており役員の方や経営者を相手にするので商談時の勝負用のスーツとして作りたいとのこと。お相手の方も比較的ダークトーンの色味を着ている印象が強いので、同様にダークトーンのシンプルな色柄でお仕立て。

初めてスリーピースを作って着てみましたが、初めてクライアントの方からスーツを褒められました。今までのツーピースのスーツも良かったですが、更に自信が付いて商談に臨むことが出来たので作って本当に良かったです。色柄も控えめながらも生地の良さが伝わるので、これからの商談時には必須アイテムとなってます。また別の生地でスリーピースをお願いしたいと思います。

まとめ

スリーピースは着用シーンによって、印象を良くも悪くもすることが出来ます。着用前にどんなシーンでどんな方と会うのかをまとめた上で着用を心がけましょう。既製品で合うサイズが無い方、探している色柄がなかなか見つからない方はオーダーで仕立てることをオススメします。