ジャケットの袖にはボタンが付いています。昔のジャケットの袖ボタンは3つ、最近の主流は4つです。
オーダーされるお客様に仕様決めの時点で、「袖のボタンはいくつにしましょうか?とご質問して初めて気にされる方がほとんどです。
それぐらい今までは気にならなかった袖ボタンなのですが、オーダースーツではここも重要なこだわりポイントです。
袖ボタンの付け方は2種類
細かく分ければたくさんありますが、一般的な袖ボタンの付け方は2種類です。
1つ目が横に並べる付け方、2つ目が重ねてボタンを付けるやり方です。順に説明していきます。
袖ボタン並び付け
4つのボタンを横に並べた付け方、これが一般的です。昔のスーツはほぼこの付け方で、今も多くの既製品がこの付け方です。
良くも悪くもなく、普通のボタンの付け方となります。
袖重ねボタン
ボタンを重ねていく付け方。
ボタンの間隔が狭く重なっており、キスしているように見えることから「キッスボタン」とも言われます。
なぜ重ねるのか?
イタリアの職人が高い仕立て技術を要しているのをアピールするためのディテールとして重ねたからと言われています。
ボタン付け糸の長さなどが重なり具合に影響するので、並び付けよりも手間がかかります。イタリアブランドの製品(ゼニアもそうですが)には袖ボタンを重ねて付けているものが多いです。
ただ、機能的には変わりません。見た目の遊びだったり、着用している本人さんのこだわりで重ねボタンにします。
袖本開き、本切羽(ほんせっぱ)
袖のボタンにはもう一つ変わった仕様を施すことができます。
実際に袖のボタンを外すことができるようにする仕様です。「袖本開き」とか「本切羽(ほんせっぱ)」などと呼ばれます。お医者さんが腕まくりをするために考案されたため、「ドクターカフ」という言い方をする場合もあります。
袖のボタンは4つとも開けることができます。
なぜ開けるのでしょうか?
先ほどの「重ねボタン」と同様で、機能としてではなく遊びやこだわりです。実際に開けて腕まくりをする人はいません。
ただ、既製品の場合は購入してから袖詰めなどをするので開けてしまう訳にはいかないので、袖の長さが確定しているオーダーならではの仕様とも言えます。
一見意味の内容に思える「本開き」ですが、当店でも袖本開きにされる方は4割ほどもいらっしゃいます。
ぜひオーダーされる際には、本切羽(ほんせっぱ)でこだわりを持って作ってください。