【スーツの衣替え】最適な時期と季節による違いを解説

【スーツの衣替え】最適な時期と季節による違いを解説

「急に暑くなったけど、夏物のスーツをクリーニングに出していて1着もない・・・」

「10月から上着着用だけど、準備をするのをすっかり忘れていた・・・」

こんな経験をした方は多いのではないでしょうか。日本の気候は実に四季折々です。

今回は、「いつ」衣替えを行うべきか、また知っておくと得をするスーツの季節に合わせた特徴や使い方を解説します。

1. スーツの衣替えは3月~5月、9月~10月

衣替えの最適な時期、それは春夏「3月~5月」秋冬「9月~11月」です。

秋冬物から春夏物への移行は、日中の最高平均気温が20度(東京)に近づく4月を中心とした3月~5月までが適しています。

この時期になると、暖かい日中は上着を羽織ると少し汗ばむくらいの日も増えてきます。

春夏物から秋冬物への移行は、10月を中心とした9月~11月までです。

10月の平均気温は4月とさほど差がありませんが1日の気温の下げ幅が大きいので、10月を目安に衣替えを行いましょう。

気象庁の観測データ(東京)によると、ちょうど4月と10月頃が最高気温20度前後で、衣替えのタイミングとなる時期であるとわかります。

出典:気象庁ホームページより

ただ、例えば4月頃は気温の低い日もありますので、完全に秋冬ものを仕舞ってしまうのは避けたほうがよいでしょう。

スーツに限らず、季節ものに関しては少しずつ移行していくのが基本です。

2. 衣替えは必要?

もちろん必要です。

「そもそもスーツって形は同じなんだから、衣替えなんて必要なの?」と思う方もいるはずです。

一見、スーツは季節に関係なくジャケットとスラックスの組み合わせに見えます。

しかし、スーツにも夏仕様や素材の違いなどにより、春夏と秋冬に大きく分けられます。

この使い分けが出来ると、「快適に過ごせる」「お洒落に見える」だけでなく、スーツをきれいな状態で長く着ることが出来ます。

3.季節によるスーツの違い

ここからは、スーツの代表的な生地と、春夏・秋冬におけるスーツの特徴と違いを具体的に解説します。

3-1.スーツの代表的な生地

スーツの生地として使われる代表的な生地をいくつかご紹介します。

今回は天然繊維に絞ってご説明します。

①ウール

代表的なスーツ生地は天然繊維の場合ですと、ウールです。ウールと聞くと、セーターなどの秋冬物をイメージするかもしれません。

しかしスーツ生地としてのウールは、季節により量や織り方を変えることで、どちらの季節も快適に過ごすことが可能となっています。

もう少し詳しく解説すると、春夏のウール生地は、比較的長い羊毛で作る毛羽の少ない整った梳毛糸(そもうし)で織られます。

逆に短い繊維でふわふわとした毛羽立ちが特徴の紡毛糸(ぼうもうし)の生地は秋冬の生地に多く見られます。

梳毛糸は季節を問わずオールシーズンに、紡毛糸は雰囲気や暖かさといった点で秋冬向けです。

②シルク

シルクとは、蚕の繭から作られる繊維です。

滑らかで軽く、ツヤツヤとした上品な光沢が特徴です。身近で使われている衣服としては、パジャマなどが挙げられます。

放湿性や吸湿にも優れていますが、熱や摩擦に弱くデリケートな面がある為、お手入れには注意が必要です。

スーツ生地としては一般的にウールにシルクをブレンドしたものが主流となります。

③カシミヤ

カシミヤ山羊の毛から織られます。

繊維は非常に細く、軽い・保温性が高い・柔らかい肌触りなどがメリットとして挙げられます。

秋冬の高級なスーツには、カシミヤがブレンドされていることが多くあります。

ただし、水分に弱いことや摩擦に弱いなど、シルクと同じようなデリケートさもあります。

カシミヤで作られたチェスターコートは、スーツを着るビジネスシーンでは最もフォーマルに見えるコートのひとつです。

3-2.春夏スーツの特徴

①生地

春夏のスーツは、通気性の良さや軽さ、汗などの速乾性などがポイントとなります。

これを実現する生地として、梳毛糸で軽く仕上げたウールや、麻(リネン)、化学繊維のナイロンなどがあります。

麻は、吸湿性に優れていて汗をかいても肌に張り付かない等、春夏の代表的な素材として挙げられます。

麻のみのスーツ生地もありますが、シワが入りやすくカジュアルな印象の為、ビジネスシーンではウールとの混紡が一般的です。

②織り方

春夏は「平織り」と呼ばれる、経糸と緯糸を交互に交差させる織り方が人気です。

平織りは摩擦に強く、通気性に優れるといった特徴があげられます。

後に紹介する綾織りに比べると、生地の光沢感は劣ります。

③仕様の違い

春夏用スーツは、形の特徴もいくつか挙げられます。

一つは、裏地の有無で、上着の“背抜き”と呼ばれる背中部分のみ裏地を省いたタイプが夏場は多く見られます。

上着の芯地にも厚みの種類があり、既製品で選ぶことは出来ませんが、オーダーの場合は薄い芯地を使った仕立てをすることでより涼しくなります。

3-3.秋冬スーツの特徴

①生地

秋冬のスーツは、体や室内の暖かい空気を逃がさない、保温性がポイントです。

ウールの場合は、ふわふわとした毛羽立ちの紡毛糸が暖かさ、雰囲気ともに秋冬らしさを感じさせます。

また「ミルド」という言葉もよく聞くかもしれません。

これはでき上がった生地を専用の機械でひっかくことで生地を毛羽立たせる仕様です。

またカシミヤも保温性に優れているので、秋冬がメインの人気素材です。

②織り方

「ツイル」とも呼ばれる”綾織り”が秋冬生地では一般的です。

綾織りとは、経糸を2.3本通した後に緯糸を通す織り方で、平織りよりも密度が高く風を通しにくくします。

③仕様

上着の裏地は全面につく“総裏”タイプとなります。

カーディガンなどを着る場合は、多少ゆとりのあるサイズ感にする方もいます。

スラックスは中にロングホーズと呼ばれるヒザ下までの長い靴下を履く場合があります。

4.衣替えは一気にするべき?

衣替えの目安となる時期は3~5月と、9~11月です。このような「移行期間」を設けて、徐々に衣替えを行います。

それぞれ3ケ月という幅を持たせるのは理由があります。この時期は、最低・最高気温の差も大きく、天気によっては1日毎に気温が乱高下するのが特徴です。

そのため、衣替えを一度で行ってしまうと「まだクリーニングに出さなければ良かった…」という結果になります。

まとめ

スーツの衣替えは、秋冬から春夏は3月~5月、春夏から秋冬は9月~11月の期間で行いましょう。

この時期を覚えるだけでも季節外れのスーツを着てしまうことがなくなり、「服装に気をつかえる人」となります。

また素材や作り方で多くの種類があります。

「何気なく買ったスーツが実は秋冬用なのに、気づかず夏場も着てしまっていた」と言う方も多いのではないでしょうか。

一度手持ちのスーツを見直し、季節分けをするとお洒落度も一段とアップするはずです。

Back To Top