「それほどおしゃれに興味はない。ただ、依頼者や相手方に軽く見られたくない」
そう感じている弁護士の方は多いのではないでしょうか。
弁護士の服装には、明確な決まりがありません。 決まりがないからこそ、誰も正解を教えてくれません。
先輩や上司から「そろそろちゃんとした格好をしたほうがいい」と言われた。 でも、何をどう変えればいいのかわからない。
当店は銀座で、そうした弁護士のお客様を数多くお迎えしてきました。 1888年創業のゼニア生地の仮縫い付きオーダーを専門にしているお店です。
この記事では、弁護士の装いがなぜ仕事の結果に関わるのか。 そして、外さない色柄の選び方をお伝えします。
読み終えるころには、「何を買えばいいかわからない」という迷いは消えているはずです。
1. なぜ弁護士は、スーツで得もすれば損もするのか
この章では、弁護士にとって装いが「商売道具の一部」である理由をお話しします。
弁護士の仕事は、依頼者の人生や企業の命運を預かる仕事です。 依頼者は、あなたの実力を法律知識で判断できません。
司法試験の成績も、過去の勝訴率も、初対面ではわかりません。
だから依頼者は、目に見えるものから判断します。
話し方、立ち居振る舞い、そして服装です。
「この先生になら任せられる」 第一印象はこの時点で半分決まっています。
そして、見ているのは依頼者だけではありません。
交渉の席では、相手方の弁護士があなたを見ています。 法廷では、裁判官や相手方当事者があなたを見ています。
よれたスーツで交渉の席に着けば、相手に「足元を見てもいい」と思わせる隙になります。 逆に、隙のない装いは、言葉を発する前から「簡単な相手ではない」と伝えてくれます。
装いは、名刺や弁護士バッジと同じです。 あなたの代わりに、あなたの信頼性を語ってくれるのです。
ここで大事なことをひとつ。 求められているのは「おしゃれ」ではありません。
派手なスーツは、むしろ逆効果になることさえあります。 必要なのは、清潔で、上質で、出しゃばらない装いです。
目立つ必要はありません。 ただ、きちんとして見えること。それだけで印象は一段変わります。
そういうスーツこそが、弁護士の仕事を支えます。
2. 「上司に言われて来ました」ー 大手法律事務所のお客様のご来店

この章では、当店に来られる弁護士のお客様が、実際にどんなきっかけで、何を選んでいるのかをお話しします。
先日、都内の大手法律事務所にお勤めの弁護士の方がご来店くださいました。
きっかけは、上司からの一言だったそうです。 「そろそろ、ちゃんとしたものを着たほうがいい」
ご本人はスーツが特別好きなわけではありません。 何をどう変えればいいのかもわからない。
そこで、上司の方が仕立てている当店に来られました。
実は、こうした経緯でご来店される弁護士の方は少なくありません。 ご自分で店を探すのではなく、事務所の先輩や上司の行きつけを頼って来られるのです。
考えてみれば、当然のことです。
弁護士の服装には決まりがありません。 決まりがないものは、雑誌やネットを調べても正解が出てきません。
一番確かなのは、「同じ仕事をしていて、きちんとして見える人」がどこで作っているかです。
では、弁護士のお客様は実際に何を選ぶのか。
当店でお選びになる色柄は、はっきりと傾向があります。 紺の無地、紺の織り柄、紺のシャドーストライプ(近くで見ないと分からない、ごく控えめな縞柄)。 そしてチャコールグレーやグレーの無地です。
チェック柄を選ぶ方はほとんどいらっしゃいません。 シャツも白が中心で、色物でも水色までです。
派手さで目を引くのではなく、落ち着いた定番で信頼感を出す。 皆さん、口には出されなくても、選ぶものは共通しています。
「稼いでいる弁護士に見られたい。でも、着飾っていると思われたくない」
その加減を、皆さんよくご存じなのだと思います。
劇的な感動はありません。それでも半年に一度、作り続けてくださる理由

正直に申し上げると、仕上がりをお渡しした瞬間に劇的な変化が起きるわけではありません。
もともとスーツにお詳しいわけではないので、 「既製品とここが違う」とその場で言葉にできる方はむしろ少数です。
変化に気づくのは、ご本人ではなく「まわり」です。
このお客様は、半年に一度のペースで作り続けてくださっています。 理由を伺ったことはありませんが、おそらくこういうことだと思います。
まわりの反応が変わった。 そして、「間違いないものを着ている」という安心感がある。
スーツに詳しくなくても、良いスーツの効果は受け取れます。 むしろ詳しくない方ほど、「これを着ていれば大丈夫」という安心を買われているのかもしれません。
服装規定はない。だから迷う ー 弁護士が外さない色柄
この章では、迷ったときに選んで間違いのない色柄と、避けたほうがよいものをお伝えします。
弁護士の服装には規則がありません。 だからこそ、何が正解かわからなくなります。
でも、答えはすでに出ています。 前の章でお話しした通り、大手事務所の弁護士の方々が実際に選んでいるものが、そのまま答えです。
基本は、紺とグレーの無地


まず揃えるべきは、紺の無地です。 依頼者との面談、交渉、法廷。どの場面に着て行っても、失点がありません。
次が、チャコールグレー(黒に近い濃いグレー)の無地です。 紺よりも少し落ち着いた重みのある印象になります。
無地に慣れてきたら、紺の織り柄や、シャドーストライプ。 シャドーストライプとは、近くで見ないと分からない、ごく控えめな縞柄のことです。
遠目には無地。近づくと、生地に表情がある。 「地味なのに安物に見えない」を実現できる柄です。
避けたほうがよいもの

チェック柄はおすすめしません。 悪い柄ではありませんが、カジュアルで軽い印象が強く、信頼感を出す場面には向きません。
実際、当店の弁護士のお客様でチェック柄を選ばれる方は、ほとんどいらっしゃいません。
強い光沢のある生地も避けたほうが無難です。 華やかな席では映えますが、依頼者や相手方の前では「派手」に見えやすいためです。
太いストライプも同様です。 弁護士ドットコムが2022年に会員弁護士112人に行った「法廷ファッション」アンケートでは、「被害者が亡くなっている事件では派手な色のネクタイや目立つ柄のスーツは着ない」といった声が寄せられています。
場面を選ぶ柄よりも、どの場面にも出られる無地。それが弁護士のスーツの考え方です。
シャツは白。冒険しても水色まで


シャツは白が基本です。 色を足すとしても、淡い水色までにとどめてください。
これも当店のお客様の実際の傾向と、そのまま一致します。
「無難」ではなく「信頼の記号」
ここまで読んで、「結局、地味な定番か」と思われたかもしれません。
その通りです。
ただし、定番は妥協ではありません。
紺やグレーの無地は、100年以上、世界中のビジネスの場で選ばれ続けてきた色です。
それだけ長く残っているのは、相手に信頼感を与える力が証明されているからです。
定番を、上質な生地で、体に合わせて仕立てる。
派手なことは何ひとつしていないのに、まわりからの見られ方が変わります。
前の章のお客様が半年ごとに作り続けてくださるのも、この積み重ねです。
生地は「わかる人にだけわかる」上質さを。ゼニアをすすめる理由

この章では、なぜ生地で印象が変わるのか?そして当店がゼニアをすすめる理由をお話しします。
前の章で、色柄は定番でよいとお伝えしました。
すると、こう思われるかもしれません。
「定番の色なら、既製品と何が違うのか」
違いは、生地と身体への合い方に出ます。
上質な生地は、主張せずに差をつける

当店が中心に扱っているのは、ゼニア(Ermenegildo Zegna/イタリアの生地メーカー)の生地です。
ゼニアと聞くと、光沢のある華やかな生地を思い浮かべる方もいます。
ですが、弁護士のお客様にお勧めしているのはそういう生地ではありません。
紺やグレーの落ち着いた無地。
一見すると何の変哲もない生地です。
違いが出るのは、着たときです。
上質な生地は身体のラインに沿ってきれいに落ちます。
座って立ち上がったときの、シワの戻りも違います。
夕方になってもくたびれて見えない。
一日中着ている弁護士にとって、これは見た目以上に実用の差です。
派手さで目を引くのではなく、着姿の整い方で差がつく。
「わかる人にだけわかる」とは、そういう意味です。
生地が良くても、体に合っていなければ台無しです
もうひとつ、既製品との大きな違いが仕立てです。
どんなに良い生地でも、肩が浮いていたり、袖が長すぎたりすれば、だらしなく見えます。
逆に、体に合ったスーツは、それだけできちんとして見えます。
当店のフルオーダーは、お客様の体に合わせて型紙から作ります。
仮縫い(本縫いの前に一度体に合わせて確認する工程)を挟めば、さらに精度が上がります。
スーツにお詳しくなくても大丈夫です。
色柄も生地も、ご来店いただければ、お仕事の場面を伺いながら一緒にお選びします。
実際、前の章のお客様も、最初は「何を選べばいいかわからない」状態でご来店されました。
料金のこと
正確にお伝えします。
当店のオーダースーツは、ゼニア生地で税込154,000円〜です。
仮縫いを付ける場合は、税込27,500円を加えて181,500円〜になります。
既製品と比べれば、安い買い物ではありません。
ただ、弁護士の方はスーツを毎日着ます。
週5日着るものへの投資と考えると、判断は変わってくるはずです。
依頼者の前に立つ道具として、半年に一度、一着ずつ揃えていく。
当店の弁護士のお客様は、皆さんそういう買い方をされています。
何着必要か?最初の一着から揃える順番

この章では、毎日スーツを着る弁護士に必要な着数と、揃える順番をお伝えします。
スーツは、毎日同じ一着を着ると傷みが早くなります。
一日着たら二日休ませる。これが長持ちさせる基本です。
週5日スーツで出勤するなら、最低3着。
余裕を持って回すなら、4〜5着あると安心です。
とはいえ、一度に揃える必要はありません。
当店がお勧めしている順番は、こうです。
一着目は、紺の無地
どの場面にも着て行ける軸になる一着です。
依頼者との初回面談も、法廷もこれで失点はありません。
二着目は、チャコールグレーの無地
紺と交互に着ることで、どちらの傷みも遅くなります。
印象も変わるので、「いつも同じスーツ」と思われることもなくなります。
三着目以降で、織り柄やシャドーストライプ
無地が2着あれば、土台は完成です。
そこから先は、紺の織り柄やシャドーストライプで少しずつ幅を広げていきます。
前の章でご紹介したお客様のように、半年に一度、一着ずつ。
2年ほどで無理なく一通りが揃います。
一度に大きな出費をせず、体型の変化にもその都度合わせられる。
毎日スーツを着る方には、この揃え方が一番現実的だと考えています。
まずは、生地を見にご来店ください

ここまで、弁護士のスーツ選びについてお話ししてきました。
色柄は、紺とグレーの定番でいい。
差がつくのは、生地の質と、体への合い方。
揃えるのは、半年に一着ずつでいい。
「ちゃんとした格好をしたほうがいい」と言われて、この記事にたどり着いたあなたへ。
何を選べばいいか、わからないままで大丈夫です。
当店のお客様も最初はそうでした。
まずは、店で生地を見るところから始めてみてください。
店内には100種類以上の生地をご用意しています。
お仕事の場面を伺いながら、一緒にお選びします。
当店は銀座駅から徒歩5分です。
ご来店は下記の予約フォームから承っています。

