違いはどこに?イタリアとイギリスのスーツのここが違う

違いはどこに?イタリアとイギリスのスーツのここが違う

フルオーダースーツ 銀座

「いいスーツを新調しよう!」そう思ってネットでブランドや店舗を探すと、「イタリアン」「ブリティッシュ」というフレーズが出てきます。

イタリアとイギリスの違いがよくわからない、という方は多いです。

今回は、国によるスーツの違いをお話しします。これを知っていれば、どんなスーツ選びに重宝します。

難しそうですが、4つのポイントをおさえるだけで理解できます。

それでは早速、イタリアとイギリスのスーツの違いを解説します。

1. イタリアとイギリスのお国柄の違い

イタリアとイギリスのスーツの違いを理解するためには、国の違いを知っておく必要があります。

この2つの国の大きな違いは、「気候」と「国民性」です。

1-1 気候の違い

イタリアとイギリスは同じヨーロッパですが、気候は大きく違います。

イタリアは乾燥して暖かく、イギリスは湿気が高くて涼しい。

この差が生地や仕立てに大きく関係しています。

イタリアでは涼しくするために軽く薄手の生地が、イギリスでは湿気でへたらないよう頑丈な分厚い生地が使われます。

そして生地の厚さに合わせて芯地もイタリアでは薄いものが、イギリスでは分厚いものが使われています。

1-2 イタリア人とイギリス人の国民性の違い

イタリア人とイギリス人では、同じ欧米人でもスーツに対する考え方にも大きな差があります。これがシルエットなどスーツの全体像に影響してきます。

「なぜ格好良く装うの?」とイタリア人に問うと、

「そりゃあ、モテたいからね!」と楽天的に返答します。

対して、イギリス人は、

「自分が不格好だと一緒にいる人に失礼ですから。」と保守的に答えます。

・イタリア人にとってスーツは自己アピールのためのファッションアイテム

・イギリス人にとってスーツは周りに同調する制服

という考えの違いが分かります。

この考え方の違いで、イタリアは身体のラインを美しく見せるスーツに、イギリスでは伝統的でカッチリとしたスーツになるのです。

2. イタリアとイギリスのスーツを比較

イタリアとイギリスのスーツでは、主に肩のデザインが違います。これは中に入っている芯の使い方が異なるからです。

また、生地もイタリア産とイギリス産では特徴が異なります。

イタリアのスーツは軽やかなイメージに、イギリスのスーツはガッチリとしたイメージに仕上がります。

次は、見た目に差が出るデザインについて、4カ所に分けて解説します。

2-1 肩のデザインを比較

イタリアのスーツは肩のラインがナチュラルなライン

イギリスのスーツは肩先が山の様にせりあがった構築的なライン

左がイタリアのスーツ、右がイギリスのスーツです。

イタリアのスーツはパットが薄く、一方のイギリスのスーツは分厚いため、このような見た目の差が生まれます。

この肩の違いで、イタリアは軽やかでスッキリと、イギリスは構築的でカッチリとした見た目になります。

2-2 胸まわりのデザインを比較

胸周りは「Vゾーン」と「ウエストの絞り」2カ所の違いがあります。

イタリアは軽やかなシルエットに、イギリスは重厚なシルエットになります。

写真左のイタリアのスーツは、Vゾーンが広く、ウエストの絞りが低め。

写真右のイギリスのスーツは、逆に狭いVゾーンでウエストの絞りを高めに設定していることが分かります。

これにより、イタリアのスーツはカーディガンのような軽やかで艶っぽいシルエットに、イギリスのスーツは軍服のような重厚で威厳のあるシルエットになります。

2-3 ポケットのデザインの比較

スーツのジャケットには胸と腰の2カ所にポケットが付いていますが、ここにもイタリアは見せるポケット、イギリスは伝統的なポケットという差が表れます。

まずは胸のポケットの違いから。

左はイタリアのスーツに多いバルカポケットと呼ばれる、船のように湾曲したデザインのポケット。曲がったポケットは取り付けるのが難しく、職人が腕を競って付け合ったという話が由来と言われます。

右はイギリスのスーツに多い箱型のポケット。こちらはスーツの伝統的な形の胸ポケットです。

イギリスの高級仕立てのスーツでは、斜めにポケットが付いた「スラントポケット」があります。

元々貴族が乗馬の際、手を入れやすくするために斜めになった名残です。

ポケットが2段になる「チェンジポケット」という仕様も、元々は「チェンジ=小銭のお釣り」を入れていた名残である伝統的なイギリスらしいディテールです。

2-4 生地の違い

イタリアとイギリスでは気候が違うため、生地の厚みと質感に差が生まれます。

写真左のイタリア製生地は、薄手で柔らかく、ツヤがあるのが特徴。

右のイギリスの生地は、密度が高く厚めで、マットな質感が特徴。

3. 結局イタリアとイギリス、日本人に合うのはどっち?

結論から言うと、現代の日本ではイタリアのスーツが好まれる傾向にあります。

昨今の日本では仕事着のカジュアル化が進み、軽快な仕立ての方が好まれるほか、イタリア人と日本人の体格が近いから体にフィットしやすいと言われています。

しかし、ビジネスシーンではイギリスの貫禄のあるカッチリとしたスタイルを好まれる方ももちろんいます。

最終的には購入者の好みですが、総合的に考えると今の日本の時流にはイタリアのスーツが合っているといえるでしょう。

最後に

イタリアとイギリスのスーツには生地や肩周りの作りに差があって、イメージが変わることがお分かりいただけたでしょう。ぜひお好みのスーツ選ぶときの参考にしてみてください。

伝統あるスーツの背景を知ることで、スーツ選びをより楽しんでみましょう。

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