「結納返し」
日本では古くから結納という婚約の形式があります。
家と家との結びつきという意味で、両家が結納の品を用意して結納の儀式を行ってきました。しきたりに沿って、結納金を納めて結納品を交換するという流れです。ただ、今は簡略化されて、両家の顔合わせと結納品を交わすだけというスタイルも増えています。
「結納」という言葉は普段あまり耳にしないですし、初めてのことで誰に聞いたら良いのかわかりません。
そこで今回は、そもそも「結納返しとは何か?」と「結納返しの品」についてのお話をします。
そもそも、「結納返し」とは?
結納返しに何を贈ったら良いのか?の前に、まずは「結納返し」についてくわしくお話します。
結納では男性側から女性側へ「結納金と結納品」が贈られます。
「結納返し」は、いただいた「結納金と結納品」に対する女性側からのお返しのこと。
※ 関西式では男性側だけが贈流など、地域によって異なる場合も
以前は、目録・のし、するめ、鰹節など多数の結納返し品を用意して結納をしていました。しかし、昨今は、のし、末広、品の簡略化された3点セットが一般的となりました。
結納にかかるお金の相場は?
男性側が用意する結納金ですが、100万などキリの良い金額が多いです。また、地域のしきたりに合わせて結納品を用意します。
女性側からの結納返しの相場ですが、関東式だと3割〜半額返しで、関西式だとゼロか1割程度を返します。
上記は関東式での相場で、結納金の金額によって結納返しの額も変わります。
また結納金とは別に、男性から婚約記念品として婚約指輪が女性に贈られます。
女性からは結納金と婚約指輪に対して、男性側にお返しが必要になります。結納金がない場合には、婚約指輪に対するお返しとなります。
ここで頭を悩ませるのが、男性に結納金や婚約指輪へのお返しとして「何を贈るのか?」です。
結納金・婚約指輪のお返しに何を贈れば良いのか?
結納返しの相場は、おおよそいただいた結納金の3割〜5割を返します。結納金が100万円なら30万〜50万円をお礼の品としてお返しすることになります。
現金で返す場合もありますが、最近では新郎の新生活に必要なものを贈るケースが多いです。
せっかくですから彼に喜んでもらえて、しかもずっと大切に使ってもらえるものを選びたいですね。
では、お返しに何を贈れば彼に喜んでもらえるでしょうか?
よく選ばれるのが、スーツや時計、パソコンやタブレット端末です。
では、順に説明していきます。
1. スーツ
かつて、男性側への結納返しのことを「御袴料(おはかまりょう)」と言いました。その名残りから今でもスーツを贈る慣習があります。
たとえ彼が仕事でスーツを着ない場合でも、冠婚葬祭やフォーマルなシーンではスーツを着ます。
「いざという時に彼にはちゃんとした格好をしてほしい」という声も女性からよく聞きます。友人や親族の結婚式で見映えのしないイマイチのスーツは着て欲しくないですからね。
そんな理由から結納返しにオーダースーツを選ばれる女性が多いです。
オーダースーツの金額も3万円から30万まで幅広いので悩みますが、結納金のお返しなので安価な既製品やオーダースーツでは釣り合いが取れません。
バランスを考えると20万円前後のオーダースーツがちょうど良いのです。
彼と二人でオーダースーツの色柄の生地を決めて、その生地に合わせた裏地やボタンを選ぶ。
こうしたスーツを選ぶというイベントも、これから結婚される二人にとって一生忘れられない思い出となります。
重要なのが、お店の選び方です。
お仕立券を購入するお店を選ぶ際には、以下のポイントを考慮することが重要です。
① オーダースーツの品質
高品質な素材を使っていることと、縫製技術があること、デザインがどうかなどが重要です。
② ブランドイメージ
生地ブランドの知名度もポイントです。どこのメーカーかわからないような生地で作られたオーダースーツではすぐに型崩れが起きたりして見た目が損なわれます。
③ お店の雰囲気
スタッフの対応が良いかどうかをチェックが必要です。こちらの思いを汲んで提案してくれる良心的なお店選びが大切です。
これらのポイントを考慮して最適なお店を選びましょう。
2. 時計
最近はスマホが時計がわりになるので、腕時計をしないという人も増えています。それでも、長く使えて記念になる品として人気がある贈りものです。
男性に人気の時計は「ロレックス」「タグホイヤー」「オメガ」といったブランド。ステータスがあって、長く使っていても価値が廃れないのがその理由です。ただ難点をあげれば、上記の時計は有名ブランドだけあってそれなりに高価。
ロレックスは一番下のラインでも50万ほどします。結納返しとしては予算を超えるケースも。また、特にロレックスの人気モデルは品薄で、入手がかなり困難です。そのため、実際に贈られるのは比較的手頃な価格のタグホイヤーやオメガが多いようです。金額は20万円〜50万円が相場になります。
ずっと使える上質な時計を、二人で話し合いながら選ぶのも楽しいひと時です。
3. 現金・金券
結納金のお礼として現金を「お返し」することもあります。
お返しする金額はいただいた3割〜5割が一般的で、地域や慣習によって違ってきます。
これからの生活に必要なものを自分たちで選んで購入する資金にする、という現実的な選択肢です。ただ、お金に対してお金で返すのはリアル過ぎて敬遠されています。
お返しする金額をどれぐらいにするか?というのも難しい問題です。結納返しを現金で渡す場合には、彼からそれとなくご両親に聞いてもらうと良いかもしれません。
結納・婚約指輪のお返しの時期、タイミングは?
「お返し」をいつするのか、その時期とタイミングについてです。
結納返しの場合は、結納が済んでから日を改めて設定するのが正式です。
しかし、最近では新郎新婦やご両家両親のタイミングが合わせずらいこともあって、結納と同日に行うのが主流になっています。
婚約指輪のお返しの場合は、彼との都合が合う日程で決めると良いと思います。
まとめ
結納返しや婚約指輪のお返しは、誕生日のプレゼントのようにサプライズで用意する贈り物ではありません。
婚約記念品としてふさわしい品物を二人で相談して選びましょう。
結納返しは、現金でのお返しではなくオーダースーツ や時計など思い出の形として残るものがおすすめです。
思い出とともに長く残るもの、愛用できる贈りものを結納返しとして選びましょう。
結婚前の両家の思い出となるイベント、良い贈り物ができると良いですね。