ゼニア15ミルミルとは?カシミヤと同じ細さを持つ最高級生地

イタリアの高級生地メーカー、エルメネジルド・ゼニア。

その中で、頂点に立つ生地があります。「15ミルミル(15 Milmil 15)」です。

「トロフェオより上があると聞いたが、何が違うのだろうか?」

「値段の差だけの価値が、本当にあるのだろうか?」

店頭でトロフェオをご覧いただいた後、このように尋ねる方がいらっしゃいます。

この記事では、15ミルミルという名前が何を意味しているのか、トロフェオと何が違うのか、そしてどんな人に向くのかを、1888年創業の銀座のオーダースーツ専門店がお伝えします。

1. 15ミルミルとは? 名前が示しているもの

この章では、この不思議な名前が何を表しているのかをご説明します。

「15 Milmil 15」

生地のネームに、こう書かれています。読み方は「クインディチ・ミルミル・クインディチ」。イタリア語で15を「クインディチ」と読みます。

▲ 15 Milmil 15のネーム。SUPERFINE AUSTRALIAN WOOLの表記が見えます

この「15」は、糸の細さを表す数字です。ゼニアの中でもっとも細い糸を使っているという意味だとお考えください。

ただ、細さの数字そのものに意味はありません。大切なのは、その細い糸で何が変わるかです。

1-1. 触っていただくと分かります

店頭では、まずトロフェオをお見せします。

そのうえで、こう申し上げます。

「トロフェオも十分に良いのですが、さらに上がこちらです」

15ミルミルをお見せすると、光沢に感心しながら、指先をゆっくりと滑らせて手触りを確かめておられます。

「やっぱり、モノがいいやつは違うね」

理屈で説明する前に、手が分かってしまう。15ミルミルとは、そういう生地です。

2. カシミヤと同じ細さです

この章では、15ミルミルの手触りの良さがどこから来ているのかをお伝えします。

15ミルミルの糸の細さは、カシミヤの原毛とほぼ同じです。

私どもはカシミヤのコートもお仕立てしています。店にはカシミヤの生地が常にありますので、あの独特の柔らかさは手が覚えています。

15ミルミルに触れると、確かに近い繊細さを感じます。指が滑る独特のやわらかさ。ウールでありながらカシミヤやシルクに近いといえる生地です。

2-1. 「繊細なんでしょ?」とよく聞かれます

ここまでお話しすると、ほぼ必ずこう尋ねられます。

「繊細なんでしょう?」

細い糸、シルクのような手触り。そう聞くと、扱いが難しそうに思えます。大事にしまっておく一着になってしまうのではないか、と。

私どもは、こうお答えしています。

「モノは良いですが取り扱いが難しいわけではないです。普通に着ていただいて問題ありません」

2-2. 特別な日だけの生地ではありません

15ミルミルを、ガラスケースに入れて眺めるような生地だとは考えていません。

年に数回しか袖を通さないのであれば、この生地の良さは分かりません。着心地の良さは、着てこそ分かるものです。

なぜ普通に着ていただいて構わないのか。理由は、次の章でお話しします。

3. 双糸なので滑らかで着心地がいい

この章では、15ミルミルが見た目ほど繊細ではない理由をご説明します。

前の章で「普通に着ていただいて問題ありません」と申し上げました。その根拠が、糸の作り方にあります。

15ミルミルは、細い糸を2本ずつ撚り合わせた双糸(そうし・2本の糸を撚り合わせたもの)を使っています。しかも、縦糸も横糸も、どちらも双糸です。

3-1. トロフェオとの糸の違い

トロフェオは、縦糸に双糸、横糸には単糸(たんし・1本のままの糸)を使っています。これが軽さと柔らかさを生みます。

15ミルミルは「縦横ともに双糸」糸を2本撚り合わせることで、細い糸でありながら生地としての強さが生まれます。

ですので、トロフェオに比べて弱いということはありません。シワへの耐性もトロフェオと変わりません。

「細い糸を使っている」と聞くと、薄くて頼りない生地と思われるかもしれませんが、15ミルミルはそうではありません。細い糸を丁寧に撚り合わせた生地です。

3-2. 撚り合わせるから、滑らかになる

双糸には、もう一つの効果があります。

糸を撚り合わせると表面が整います。毛羽立ちが少なくなり、生地の表面が滑らかになる。前の章でお伝えした「指先を滑らせたときの感触」はここから来ています。

そして、この滑らかさが着心地に直結します。

指の間を生地がすっと滑る。動いたときに生地が肌に引っかからない。一日着ていても、身体が窮屈さを感じにくい。

15ミルミルをお召しになった方が「着心地が良い」とおっしゃるのは、この滑らかさによるものだと考えています。

4. 大トロだけを使う原毛の選び方

この章では、15ミルミルの原料についてお伝えします。

生地の良し悪しは、2つの要素で決まります。「原料の質」と「糸の細さ」です。

糸の細さについては前の章までにお話ししました。ここでは、原料の話をします。

4-1. 同じ羊からでも質は変わります

羊毛にはさまざまな種類があります。太い毛から細い毛まで。コシのあるしっかりしたものから、ふんわり柔らかなものまで。

そして、同じ1頭の羊からでも採取する箇所によって毛の質が変わります。硬い部分もあれば、柔らかい部分もある。

ゼニア社は、原毛の品質にこだわりを持っています。オーストラリアで買い付けた羊毛から、吟味を重ねたものだけを生地に使います。

15ミルミルもトロフェオも、そうして選ばれた良質な羊毛から作られています。

4-2. その中から、さらに選び抜く

15ミルミルに使われるのは、そこからさらに絞り込んだ原毛です。

選りすぐりの高品質な羊毛の中からほんのわずかしか採れない最上級のもの。羊毛の「大トロ」だけを使っている、と言ってよいと思います。

希少な原料を使い、それを双糸に撚って織り上げる。手間と原料の両方を惜しまずに作られているのが、15ミルミルという生地です。

価格が242,000円になる理由もここにあります。

5. トロフェオとの違いは、どこにあるのか

この章では、トロフェオと15ミルミルのどちらを選ぶべきかをお話しします。

ここまでお読みいただくと、15ミルミルのほうがランクが上の生地だと感じるかもしれません。

事実、ゼニアの中で最高峰に位置するのは15ミルミルです。ただ、だからといって全員に15ミルミルをおすすめしているわけではありません。

 15ミルミルトロフェオ
価格(税込)242,000円187,000円
糸の構造縦糸・横糸ともに双糸縦は双糸・横は単糸
手触り滑らかで指抜けが良いしなやかでしっとり
着用時期春・秋・冬春・秋・冬
店頭陳列数約30種類80種類以上

※価格は一着のスーツ代(税込)です。別途、初回は仮縫い代として27,500円(税込)を申し受けます。

5-1. 選び方は一つではありません

トロフェオと15ミルミルの差は55,000円です。

この差をどう見るかは、お客様によってまったく違います。

初めてのフルオーダーで、まずトロフェオを選ばれる方がいらっしゃいます。80種類以上ある中から色柄をじっくり選びたいという方です。

一方で、最初から15ミルミルを選ばれる方もいらっしゃいます。「以前ほどスーツを着なくなった。だからこそ、着る一着は最高のものにしたい」。そうおっしゃる方です。

着る回数が減ったからこそ、一着に価値を求める。私どもはこの考え方をよく理解できます。

5-2. 迷われたら、両方に触れてください

どちらが良いか、ここで決めていただく必要はありません。

店頭で、トロフェオと15ミルミルを並べてお出しします。触れていただければ、回答は出ます。

「やっぱり、いいやつは違うね」

そうおっしゃって15ミルミルを選ばれる方もいれば、トロフェオを気に入られる方もいらっしゃいます。どちらも正しい選び方です。

6. 15ミルミルのコレクション

この章では、実際の15ミルミルの生地をご覧いただきます。

私どもの店頭には、約30点の15ミルミルをご用意しています。その中からいくつかご紹介します。

▲ 15ミルミル ネイビーベースのシャドーチェック

▲ 15ミルミル グレーのシャドーストライプ

▲ 15ミルミル ミディアムグレーの2cmストライプ

▲ 15ミルミル ミディアムグレーの無地

▲ 15ミルミル ネイビーのオルタネイティブストライプ

写真を掲載しましたが、写真では光沢の深さまではお伝えしきれません。ぜひ店頭にて実物をご覧ください。

生地の色柄と在庫は毎シーズン変わります。

7. 15ミルミルのオーダースーツの値段

当店では、15ミルミルのオーダースーツを242,000円(税込)でお仕立てします。

初回のみ仮縫い代金として上下27,500円(税込)を別途申し受けます。

ゼニアの他の生地との価格の比較は、こちらの記事の一覧表でご覧いただけます。

8. まずは、手に取ってみてください

15ミルミルについてお伝えしました。

ただ、この生地の良さは、写真と文章だけでは伝わりきらないと思っています。「百聞は一見にしかず」と言います。手に取っていただくのがいちばん確かです。

ご来店のご案内

15ミルミルの柔らかさは、写真や文章でお伝えできる範囲に限りがあります。店頭には100点以上の生地を展示しており、実際に手に取ってお確かめいただけます。

当店は銀座駅から徒歩5分の店にて、お一人おひとりとお話ししながらじっくりと生地をお選びいただけます。「まずは触ってみたい」というだけのご来店も歓迎です。

銀座でオーダースーツをお考えなら

スプレーモ銀座店
中央区銀座6-7-16 岩月ビル4F
東京メトロ銀座駅から徒歩約5分