スーツの肩のシワのことを「ツキジワ」と言います。もう少し詳しく言うと、スーツの背中の首の下あたりに入る横一本のシワのこと。
自分では見えないところですが、他人からは良く見られて目立つ部分です。
このツキジワ、どんな体型の人が出るのでしょうか?
既製品では標準体型をベースに作られているので、ツキジワが出る人はオーダースーツで補正を入れる必要があります。
ツキジワはなぜ出るのか、どうすれば取れるのか、スーツの型紙を熟知したテーラーが解説します。
ツキジワが出る5つの原因と対策
1.怒り肩(いかりかた)
首の付け根と肩先の角度が急で、正体に比べて肩先が上がっています。
スーツを着ると肩先で服が持ち上げられます。↓首の付け根から肩先が水平に近いので、余った生地がツキジワとなって現れます。
オーダーの場合の解消方法は、肩パットを薄くして怒肩の体型補正を入れます。
肩の先の角度を水平方向へ上げる「怒り型」の体型補正です。同時に、余った部分をつまみとるような「ツキ取り」という補正を入れることで直します。
2.反身(はんしん)
反身体(はんしんたい)とは胸を張るように反った体型のことです。
横から見たときに、正体に比べて背中の線が直線的または反り気味になります。
スーツの上着を着ると背中の生地が余って、ツキジワが出ることも。
解消方法は「反身」という体型補正を入れます。
上着の前丈と後丈のバランスを調整をして、背中で余る生地の分量を削ります。
3.後首(うしろくび)
正体に比べて首が後ろに位置する体型のことです。
襟の下に生地が重なるようなシワが出ます。
解消方法は衿部分の首の位置を後ろへずらす「後首」という補正を入れます。
4.前肩(まえかた)
横から見たときに、肩が前に位置している体型のことです。
正体に比べ肩が胸側に巻き込みますので、背が左右に引っ張られます。洋服は上にずり上がるように引き上げられるのでツキジワが発生します。
解消方法としては肩の前部分で洋服が引っ張られないように背巾を出します。
さらに、肩が前で当たらないよう袖の幅を広げます。
5.スーツのサイズによるシワ
普通の体型なのにツキジワが出てしまう、という場合があります。
これは、着ているスーツが適正サイズより小さいかもしれません。
小さいサイズのスーツはバストまわりがきついので、上着が上に持ち上げられます。
そうなると、背中側のゆとりも不足し、服が左右に引っ張られてツキジワが現れます。
解消方法としては、バストまわりにちゃんとゆとりがある正しいサイズのスーツを着ること。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ツキジワは自分で見ようと鏡を見て体をひねるだけで出てしまいます。まわりの人に頼んで、首の後にツキジワが出ていないか見てもらいましょう。
正しい補正を入れ、自分の身体に合ったサイズのスーツを着てもツキジワが出る場合があります。その場合は、シャツにツキジワがあるかもしれません。インナーのリブがアタリとなって浮き出てくることもあります。
また、肩甲骨が極端に出ているなど、どんな補正を入れても物理的にツキジワが取り切れないことも。
ツキジワが気になる場合はテーラーに相談してみてください。