スーツはいつもスラックスが先にダメになってしまう」というお話をよく聞きます。
クールビズが浸透して上着を着ない場面も多くなったのでなおさらです。そんな時、まだまだ着ることが出来る上着を、ジャケットとして使えるのか?
スーツとジャケットの違い、そして実際にスーツの上着をジャケットとして使うことが出来るのか、解説していきます。
1. スーツの上着とジャケットの違い
一見どちらも上着なのだから、一緒の様にも見えますが、実は異なる点がたくさんあります。
これらの違いにより、見た目は意外と大きく左右されますのでチェックしてみて下さい。
1-1 スーツとジャケットの生地
スーツの生地とジャケットの生地って違うの?と私たちもお客様によく聞かれます。
落ち着いた色柄のジャケットと同色系のスーツとでは遠目で見たときには同じように見えますが、よく見ると細かい部分で様々な違いがあります。
まず生地の違いを簡単に下記でご紹介します。
〇 スーツ生地
パンツとしての耐久性を保つため、目が詰まっていて艶感が出る。色柄は比較的抑え目な印象。ダーク系が多い。
〇 ジャケット生地
雰囲気を出すために甘く織られていることが多く、さまざまな素材を混合していることが多い。
春夏はシルクやリネン、秋冬はカシミヤなど季節感も特徴的。色柄は多岐にわたり派手な色使いも見られる。
1-2 仕立て
スーツとジャケットでは、そもそもの仕立てが異なることが多く見られますので、いくつかご紹介します。
〇 スーツ
肩回りはパットが入りやや構築的。腰ポケットは内側にポケットが内蔵されているタイプが多い。
裏地は内側に全てつくタイプか、背中だけ抜く仕様が多い。
〇 ジャケット
肩回りはパットを省いたデザインが多く、腰ポケットは外側に付くいわゆる「パッチポケット」が多い。
裏地は軽やかさを出すために袖裏部分を除き全て抜いてしまう「アンコン仕立て」も人気。
サイズ感としては着丈がやや短めとなる傾向。
1-3 ディテール
このように、一見同じに見える上着もよく見てみると、様々なところに違いがありますね。
やはりスーツの上着は、ドレス感の強い印象です。
対してジャケットは、気軽に羽織れるようなカジュアルさが特徴的です。
2. スーツの上着はジャケットとして使える?
スーツとジャケットの違いをご説明しました。
この様に見た目も仕様も違うスーツとジャケットですが、実際にスーツの上着をジャケットとして使うことが出来るのでしょうか。
2-1 実際のコーディネート
まず、艶感のあるスーツの上着を、ややカジュアルなスラックスに合わせてみました。
いかがでしょうか?なんとなく不自然に感じませんか?
ボトムスをややカジュアルに外したスタイルにフォーマルなスーツの上着を合わせると少しちぐはぐな印象になってしまいます。
次に、ツヤ感のあまりないバーズアイと呼ばれる細かな織り柄のジャケットを、グレーのスラックスに合わせてみました。
どうですか?1枚目よりもジャケパンとして見えると思います。
ツヤを抑えた生地ですが作りはスーツなので、グレーのスラックスを合わせて全体的にややフォーマルにまとめました。
2-2 条件が揃えば使用可能
上記のように、例外としてジャケットとして着回すことのできるスーツの上着も、いくつかはあります。
そこでそのポイントをご説明します。
〇 光沢の無い生地
〇 チェックなどのカジュアルな柄使い
〇 きめ細かな無地ではなく、バーズアイなどの織り柄
まとめ
スーツとしての生地でも、上記のように一定の基準をクリアすれば、ジャケット単品として使うことも出来ます。しかし、ファッションの経験則や知識等が必要な上級テクニックです。
もったないからと節約を優先してカッコ悪いコーデになってしまっては本末転倒です。
どうしてもという場合は、今回ご紹介した内容も含め、ジャケットとして使えるかをしっかりと見極めましょう。