本切羽、ほんせっぱと読みます。
オーダースーツを作ったことがある方は店員さんから「本切羽オプション」を付けるか訊かれたことがあるかと思います。
今回の記事では本切羽とはいったい何なのか?またどういう意味があるのか?など本切羽について詳しくお伝えします。
これからオーダースーツを検討されている方は是非参考にしてください。
2種類の袖仕立て
スーツの袖ボタンの仕立て方には「開き見せ(ひらきみせ)」と「本切羽本開き(ほんせっぱほんびらき)」の2種類があります。
一般的に開き見せは既製服に多く用いられる仕立て、対して本切羽はオーダースーツによくある仕立てです。
昨今では既製服で本切羽になっているスーツもあります。
持っているスーツの袖をよく見てみると意外に本切羽だった、なんてこともあるかもしれません。
「開き見せ」と「本切羽」の袖のボタンホールの違いを順に見ていきましょう。
開き見せ
開き見せは、袖に3組または4組の閉じたボタンホールがある仕立てのことを言います。
簡単に言いますと、ボタンホールがない飾り穴の仕立てなので開きません。
既製服によく用いられるのには理由があって、袖丈の直しの調整をできるようにするためです。本切羽はボタンホールが空いてしまっているので、それ以上詰めることができません。
本切羽
本切羽はボタンホールに穴が開いていて、ボタンをはずすことで袖を開いたり閉じたりできる仕様です。
「なぜ開くようになっているのですか?」という質問をよくいただきます。この本切羽、「ドクターカフ」という別名があるのですが、医者がスーツを着ている時にすぐに腕まくりをして診療できるようにしたのが由来と言われています。
ただ、現在では実際に腕まくりをして仕事をするというような方はいらっしゃいません。
実用性というよりも、あくまでディティールのこだわり仕上げとして人気のオプションです。
両袖で一番下だけボタンをはずしてオシャレを楽しんでいる方もいらっしゃいます。
ボタンの並べ方
並べボタン
一般的な仕立てでキレイにボタンが並んでいる形。フォーマルスーツなどは並べボタンを採用することが多いです。
重ねボタン
立体感があり、見た目は少しカジュアルな印象。イタリアスーツの雰囲気があります。
一説ではイタリアの職人がイギリスの職人に対抗して手間を掛け、技術をアピールするために始めた、という話もあります。
本切羽オプションは必須?
本切羽のオプションは人気があります。また、本切羽にすることで高級感やお洒落な印象になります。ただ、本切羽でないとしてもスーツとして問題はありません。
本切羽はどちらかというとイタリアのイメージが強いので、イタリアのブランドなどのジャケットに用いられていることが多いです。対して開き見せはイギリススーツに採用されます。
オススメとしては、お作りするスーツのイメージや生地の色柄によって変えてもいいかと思います。
例えば、今回作るスーツの生地は青みがあり、イタリアっぽいので本切羽に。こちらの生地はグレーにグレンチェック柄とイギリスの雰囲気があるので開き見せに。という感じで仕様を変えて、お洒落を楽しむのもいいかもしれません。
◆まとめ
いかがでしたでしょうか。本切羽は「高級スーツの証」とも言われます。ただこうしたディテールは好みの問題なので深く悩む必要はありません。
せっかくのオーダーだから「こだわりの仕様」にしたいという方はぜひ付けてみると良いと思います。細かな部分ですが、こうした細部にも遊びを入れながらお洒落を楽しんでみてください。