スタイルを決める時に、
「センターベント」にするか「サイドベンツ」にするかを
多くの方が悩まれます。
今回は、その違いについて書かせていただきます。
センターベントとは?
「センターベント」とは後の身頃に切れ込みを入れた仕様。
背中側の裾部分に切れ込みが入っています。
そもそもは乗馬をする際に引っかかったりしないように、窮屈さの解消と動きやすさを考えて作られたデザインです。
別名「馬乗り」とも言われます。
サイトベンツとは?
一方のサイドベンツは、後の両サイドに切れ込みを 入れた仕様。
腰に剣を差していた名残りのデザインと言われていて、英国製のスーツによく見かけられます。
別名「剣吊り」と言われています
両サイドの切れ込みが入っているので、センターベントよりも動きやすく、突っ張った感じがなくなります。
センターベントよりも運動量が多い仕様がサイドベンツと言えます。
ちなみにセンターベントの方がサイドベンツよりも歴史は古いようです。
では、どっちにすれば良いのか…?
鏡にうつった自身の姿を正面から見ても、サイドベンツかセンターベントなのか見えません。
身体を少し横にすることで見えると思いますが、少しだけサイドベンツの方が上着の裾部分の広がりが大きいです。
このように後ろ姿は自分では見えないので、どっちが良くてどっちが悪いのかなどありません。
悩まれるお客様のために最近の傾向はお伝えしています。
最近の若い方向けの細身のスーツのように着丈が短いスーツは、センターベントになっているものが多いです。
これは、上着丈の短いスタイルが流行っているのに影響していて、短い着丈でサイドベンツにすると腰の上部でベンツが横に広がり過ぎて見映えが悪いからです。
一方、ゆったりしたスラックスに合わせる場合には、サイドベンツがおすすめです。
もも部分のゆったりしたスラックスに、上着の裾部分が狭いセンターベントを合わせると、上が小さくて下が大きく見てしまいます。
また、上着の裾の部分とスラックスのもものラインが うまくつながりにくいので、シルエットも美しくありません。
ですので、少し裾部分に広がりのあるサイドベンツの方がこの場合は合います。
実際に御来店していただいたお客様で悩んでいる方には、鏡越しに着用したスーツをもとにご説明しているのですが、文章でお伝えするのはなかなか難しいですね・・・。
結論として大ざっぱに申し上げますと、バックスタイルが美しいのがセンターベント、動きやすいのがサイドベンツ、ということです。
これ以外に「ノーベント」があります。こちらは切れ込みが後にまったく入っていない仕様で、タキシードなどのフォーマルに使われます。
ノーベントはビジネススーツにはほとんどなく、ダブルのスーツに見られるくらいです。
長くなりました。参考になりましたでしょうか。
それではまた。
清水義雄