スーツやスラックスを買ったとき、必ずと言っていいほど聞かれる「裾上げ、どうしますか?」という一言。
なんとなく「シングルでお願いします…」と答えているけれど、本当はよく分かっていない。
そんな方は意外と多いのではないでしょうか?
裾上げは、スーツやパンツを着用した姿をよりよく見せるための大切な最終工程です。
仕上がりの印象や着心地にも大きく影響するため、実はパンツの完成度を左右する重要ポイントでもあります。
今回は、裾上げの種類やそれぞれの特徴、パンツごとのおすすめスタイル、さらに失敗しないための注意点まで詳しく解説します。
1. 裾上げとは?なぜ必要?
既製品のスラックスは、さまざまな体型に対応するため、裾を長めに仕立ててあります。
そのままでは着用することができないので、引きずってしまったり、購入後に自分の足の長さに合わせて裾を整える必要があります。
オーダースーツでも同様で、理想の丈で仕上げることで、パンツ本来の美しさが引き立ちます。
2. 裾上げの種類は3つ
裾上げのやり方は3つです。では順に説明していきます。
2-1.裾シングル仕上げ(スーツの基本)
スーツのパンツなど、ウール生地によく用いられる裾の仕上げ方。
表地を内側に折り込んで、まつり縫いで縫い付ける仕様です。
スーツ初心者にもおすすめの王道スタイル
ダークスーツ・礼服・タキシードにも適している
細身のスーツやシャープな印象にしたいときにも最適
迷ったらまずは「シングル」と覚えておけば安心です。
スッキリした印象の見た目に↑
2-2. 裾ダブル仕上げ(クラシカルでおしゃれな印象)
シングルの裾上げを外側に折り返し、かかと側に靴擦れ防止の布を付けてまつり縫いをします。
折り返しの幅は4.0㎝から4.5㎝が主流。折り返しが元に戻らないようにサイドを縫い付ける方法と、スナップで止める方法があります。
裾ダブルのスナップ・縫い付け↑
折り返し部分が厚みを持つことで、スラックスの裾がストンと綺麗に落ち、エレガントな雰囲気に。
折り返し幅は一般的に4.0cm〜4.5cm
オシャレなこだわりのある印象にしたいときに
裾ダブルは後からシングルへ変更可能なので、初挑戦の方も気軽に試せます。
2-3.ミシンタタキ仕上げ(カジュアルパンツ向け)
ジーンズやチノパンなど、綿素材やストレッチ素材のパンツに多く使われる仕上げ。
裾を三つ折りにして、ミシンで縫い目を見せる
カジュアルな雰囲気が出るので、セットアップや休日パンツにぴったり
ロールアップして履いても見映えするよう、幅を調整可能
3.裾上げの長さ設定で「失敗しない」ために
裾上げで最も多いトラブルは、「丈が思っていたより長い(短い)」という仕上がりミス。
原因は主に、試着時にウエスト位置が高すぎる or 低すぎる状態でピンを打ってしまうこと。
対策
試着時には落ち着いて、普段の履き位置でウエストを合わせる
椅子に座ったり立ったりを数回繰り返し、自然な履き位置を確認
パンツを強く引き上げすぎない
とくにミシンタタキの場合、針の跡が残りやすいため、やり直しが効かない場合があります。
ウールパンツは比較的調整が効くので、丈の微調整が必要な人は素材にも注目しておくと良いでしょう。
試着で引き上げすぎるケースが多いので注意↑
パンツの裾についてまとめ
いかがでしたでしょうか。
裾上げ=パンツの仕上げの要
スーツなら「シングル」または「ダブル」が基本
カジュアルパンツは「ミシンタタキ」がおすすめ
試着時のウエスト位置を見極めて、失敗を防ごう
スーツを買うとき、「裾上げどうしますか?」と聞かれても、もう悩まない。
あなたらしい一本を、裾の仕上げまでこだわって選びましょう。