「スーパー120の生地です」
このような表現をオーダースーツ店でお聞きになられたことがありませんか?
既製品のスーツにもこのような表現のタグが付いていたりもします。
これは何のことか…?と言いますと、ウールの世界標準規格として「スーパー〇〇’sクラス」という表示をします。これはウール繊維の細さを表しています。
繊維が細ければ細いほどシルクの細さに近づきます。そうした生地は滑らかで上質です。
スーパー110と120の数字の大きさは?
このスーパー表示は数字が大きいほど繊維が細くて高品質。つまり、スーパー110と120とではスーパー120の方が上質です。
昔はスーパー100で結構細い繊維とされていましたが、最近の生地では110や120が一般的です。
これらよりも上質とされる140や150もあります。ただ、そこまで繊維が細いとシワになったり耐久性がなかったりと一般的なビジネスシーンで使うのには不向きです。
ゼニアの生地で言えば、「エレクタ」がスーパー110クラスで、「トロフェオ」がスーパー120〜130クラスです。
スーパー110の「エレクタ」はシワになりにくく生地がしっかりしているという特徴があり、スーパー120の「トロフェオ」は風合いが滑らかでツヤがあります。
スーパー表示だけで選ぶと危険
気を付けていただきたいことがあります。
ゼニア以外のイタリア製の安価な生地などにもスーパー120と表記されている生地があります。しかし、この表記だけを見て「高品質な生地」と決めつけるのは危険です。
ゼニアのスーパー120と安価な生地のスーパー120とでは、同じ120番手という細い繊維を使用した生地であっても違うのです。
羊毛の質の違い
繊維の太さが同じであっても、使用している原料が良いかどうかという問題があります。牛肉と同じで羊毛も「採取する部位」で品質の差があるのです。
粗い毛が集まっている箇所から採取した羊毛から作られた繊維と、1頭から少量しか取れない希少な羊毛の繊維とではまったく違います。
同じスーパー120番でも糸の品質によって触り心地に差が出ます。
打ち込み本数の違い
「打ち込み本数の違い」も注意しないといけません。
生地はタテ糸とヨコ糸でできています。
糸と糸の隙間が狭くギッシリと打ち込んであれば、生地にハリが出ます。ハリがある生地はスーツになった時にシワへの耐久性があります。
ゼニアの場合は1センチ四方に隙間なくしっかりと打ち込んでいますので生地にハリが出ます。
一方、糸の間隔が隙間だらけの安価な生地で作ったスーツは、クタッとしていて生地にハリがなくすぐに型崩れしたりシワになったりするのです。
同じスーパー120でも生地のさわり心地やハリ、ツヤには差があるということを知っておけば、生地選びに失敗しなくて済みます。