スーツ雑誌でマニカカミ―チャという言葉を見かけます。
「実際のスーツを店頭でみても違いがわからない。」
「なかなか見つからない。」
など、興味はあるけど何のことかわからない、と思う人も多いはず。
マニカカミ―チャのスーツは日本の市場ではわずかな流通量なので、売っているところも、着ている人も少ないです。
今回はマニカカミ―チャのスーツを実際に仕立てるテーラーが、その魅力や日本での評判をお伝えします。
1. マニカカミーチャとは?
マニカカミ―チャとは、スーツやジャケットの袖付け方法のひとつで“シャツ袖”を意味します。イタリア語でマニカ(=袖)、カミ―チャ(=シャツ)から来ています。
シャツの袖付けのようにギャザーを入れます。雨が降ったようなギャザーの姿から“雨降らし”とも呼ばれます。
通常肩先には肩パットとタレ綿と呼ばれる副資材を入れ、肩山が丸く、シワが入らないように仕立てます。
対してマニカカミ―チャは副資材を使わずに袖付けをします。
アームホールの円周よりも大きな袖筒を付けるには、いせ込みというギャザーを入れながら縫う必要があります。
ギャザーが入ることで着用したときに肩に沿うように立体的になり、運動量も増えるので肩の動きが楽になります。
2. マニカカミーチャの魅力
イタリアのスーツといえば、このマニカカミ―チャが有名です。ナポリの手縫い職人が好んで使う手法で、独特の雰囲気が魅力的です。
副資材が入っていない為、とても軽く、動きやすい袖付け方法です。
見た目の仕上がりも通常のスーツと違い、個性的で玄人受けするディティールのひとつです。
構築的な肩の英国スーツは“カッチリ” “硬派” “フォーマル”に見えますが、マニカカミ―チャは“カジュアル” “柔らかさ” “色気”を感じさせ、雰囲気の差がはっきりとわかります。
3. マニカカミーチャがビジネスで不向きな人も
マニカカミ―チャは知らない人が見るとギャザーがただのシワに見えてしまいます。
雰囲気を大事にするイタリアに対し、日本は完璧主義のお国柄のため、縫製不良と思われがちな一面もあります。上司や得意先、仕事で合う人がマニカカミ―チャのスーツを知らないと仕立ての良くないスーツと見られてしまう悲しい現状でもあります。
カジュアルな環境であったり、洋服に詳しい人達が多い環境にはふさわしいかもしれませんが、固い職業などには適しておらず、日本ではまだまだ市民権を得るまで普及されてはいません
仕事で着用しようとマニカカミ―チャのスーツを考えている人は環境を考えて選ぶと良いでしょう。
ジャケットスタイルはもともとカジュアルなので、マニカカミ―チャのアンコンジャケットはビジネスシーンでも問題ありません。スーツが不安な場合はジャケットからチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
着心地よし、雰囲気よしのマニカカミ―チャですが、ビジネスシーンで着用するにはいくつかのハードルをクリアする必要があります。興味のある人はぜひご参考ください。